Fig. 10 Water-Strength Correlation
Fig. 11 Mixing Control Chart
5.環境影響調査
事前混合処理工法の一つである本工法は、セメント系の固化材を使用するため、特に環境に対する影響は工事を計画するにあたって事前に十分な検討をしなければならない。一般に固化処理された土のアルカリ性は長期に安定な強度特性を保つうえで重要な因子であるばかりでなく、有害物質の無害化の効果、さらには土中微生物や藻類の異常な増殖に抑制効果があり、環境浄化(底質改善)に寄与するところも大きい。しかし、過剰の固化材の流出は高濃度のアルカリ性液の拡散を引き起こし、環境汚染の原因ともなり得る。本工法を行うにあたって事前の実証実験で周辺海域の水質への影響について入念に調査を行い、また、本工事においても、工事区域の内外にバックグランド点を設けて、PMC工事の影響(汚濁負荷)を調べた。環境へ影響は5項目(PH,SS、濁度、透視度、COD)の水質について調査を行ったが、最も影響の厳しい打設地点においても、本工法が環境に顕著な影響を及ぼすことは見られず、水質環境基準(海域関係C類型:環境保全)に十分適合していることが確認できた。これはPMCが水中コンクリーなどの打設と異なってセメント添加量が比較的少なく、さらに海中は希釈領域が非常に大きく、またpHの緩衝効果が強いためであろう。水質項目の内、SSと濁度は打設中に若干の濁りの懸念があるが、拡散/沈降などによる濁りの収斂が良いため環境を悪化するまでにいたらなかった。
Fig. 12 Transition of later Quality
おわりに
本稿では泥土固化処理技術の適用例として、大水深護岸の漏出防止工工事の施工概要および結果を報告した。過去2回にわたる工事であるが、設計、施工面でもまだ十分に確立されているものではなく、今後継続される工事においてさらに技術の蓄積を行い改善を図っていく必要がある。本工法のような機械化施工およびリサイクル技術は、今後、より簡易な裏辺材や地盤造成に広く用いられるであろう。最後に本施工に関し、当初から適切なご指導、ご支援を戴いた横浜市港湾局および運輸省第二港湾建設局の関係者各位には、紙面をお借りして深く感謝を申しあげます。
Fig. 13 Conceptional Chart at Completion of later Leakage Prevention Work (Bird's-eye View)
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